配偶者居住権について④配偶者居住権の消滅   港北区の司法書士のブログ

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配偶者居住権について④配偶者居住権の消滅   港北区の司法書士のブログ

2020/05/19

 今回は、配偶者居住権の最後のテーマ「消滅」についてご説明いたします。

 配偶者居住権が消滅する場面としては以下の4つが考えられます。

 

1 配偶者が死亡した場合

 配偶者居住権は、配偶者の居住の権利を保護するために政策的に設けられたものであるため、配偶者が死亡した場合には、配偶者居住権は消滅します。

 

2 存続期間の満了

 配偶者居住権の存続期間は、特段の定めがない限り、配偶者が死亡するまでとなりますが、配偶者居住権を設定する遺産分割協議等をするに際して、存続期間を定めることができます。この存続期間が満了した時に配偶者居住権は消滅します(民法第1030条)。

 

3 居住建物の所有者による消滅請求

 配偶者の用法遵守義務や善管注意義務、第三者に使用収益させるためには居住建物の所有者の承諾が必要であることは、前回お話しましたが、配偶者がこれらの義務等に違反した場合、居住建物の所有者は配偶者に対して相当の期間を定め是正催告を行い、その期間内に是正されないときは、配偶者に対する意思表示によって、配偶者居住権を消滅させることができます(民法第1032条第4項)。

 

4 居住建物の全部滅失

 配偶者居住権の目的となっている居住建物そのものが全部滅失した場合、配偶者居住権は消滅します。

 

 これらの事情により配偶者居住権が消滅した場合、民法第1035条に従い、配偶者は居住建物の所有者に対して居住建物を返還する義務を負います(但し建物が全部滅失した場合を除く)。また、配偶者が相続開始後に居住建物に附属させた物がある場合には、配偶者はこれを収去する権利を有し、義務を負います。さらに居住建物について、相続開始後に生じた損傷がある場合には、配偶者は通常の使用によって生じた居住建物の損耗及び居住建物の経年劣化を除き、原状回復義務を負います。

 そして最後に、居住建物の所有者は、配偶者が死亡して配偶者居住権が消滅した場合、単独で配偶者居住権の設定の抹消登記を申請することができますが(不動産登記法第69条)、配偶者死亡以外の原因の場合は、原則として配偶者と共同で抹消登記申請することになります。

 

 次回からは配偶者「短期」居住権について、お話したいと思います。